気体流量の単位と基礎知識
気体流量は、温度や圧力によって体積が大きく変化するため、液体の流量とは異なる考え方が必要です。 このページでは、気体用流量計を選定・使用する際に知っておきたい 使用状態での体積流量、NL/min、Nm³/h、温度・圧力条件、1atm仕様とゲージ圧仕様 の基礎を分かりやすく解説します。 面積式流量計のカタログ流量補正や機種選定では、各製品カタログ・仕様書に記載された条件と補正式をご確認ください。
気体流量とは
流量とは、単位時間あたりに、ある断面または地点を通過する流体の量を表す値です。 流体の量は、体積または質量で表されます。
気体流量とは、配管や装置内を流れる空気・窒素・アルゴン・酸素などの気体の量を表す値です。 一般的には、L/min、m³/h、NL/min、Nm³/hなどの単位で表されます。
液体は温度や圧力が変わっても体積変化が比較的小さい一方、気体は温度が上がると膨張し、圧力が高くなると圧縮されます。 そのため、同じ「100 L/min」という表示でも、 どの温度・圧力条件における体積なのか を確認しないと、数値の意味や機器の使用条件を誤って判断する可能性があります。
ポイント: 気体流量では、「実際の使用温度・使用圧力における体積流量」なのか、 「所定の温度・圧力条件に換算した流量」なのかを区別することが重要です。
使用状態の流量と換算流量の違い
気体流量を扱うときは、 現在の使用温度・使用圧力における体積流量と、 所定の温度・圧力条件に換算した流量 の違いを確認することが重要です。 どちらも気体の流量を表しますが、数値の基準となる条件が異なります。
使用状態での体積流量
実際の配管内の温度・圧力条件における体積流量です。 気体は温度・圧力によって体積が変化するため、条件が変わると同じ量の気体でも体積流量が変化します。 単位はL/min、m³/hなどで表されます。
換算された体積流量
気体を、あらかじめ定められた温度・圧力条件に換算した流量です。 条件をそろえて数値を比較できます。 NL/min、Nm³/h、SL/minなどの表記が用いられる場合がありますが、 それぞれの基準条件はカタログや仕様書で確認する必要があります。
| 項目 | 使用状態での体積流量 | 所定条件に換算した流量 |
|---|---|---|
| 条件 | 実際の使用温度・使用圧力 | あらかじめ定められた温度・圧力条件 |
| 主な単位例 | L/min、m³/h | NL/min、Nm³/h、SL/minなど |
| 主な用途 | 配管内の流速や実使用条件の確認 | 流量値の比較、設備仕様、カタログ条件の確認 |
| 注意点 | 温度・圧力が変わると体積も変化します | 単位とともに基準となる温度・圧力条件を確認します |
L/min・NL/min・Nm³/hの違い
気体流量の単位には似た表記が多くあります。 特に、L/minとNL/min、 m³/hとNm³/hは混同しやすいため注意が必要です。
L/min
1分間に流れる体積をリットルで表す単位です。 気体の場合、使用時の温度・圧力条件によって体積が変化するため、 数値とあわせて測定条件を確認する必要があります。
NL/min
Normal Liter per minuteの略で、 所定の基準条件に換算した1分間あたりのリットル流量を表す単位です。 東フロ製品では、製品ごとにカタログ・仕様書に記載された温度・圧力条件をご確認ください。
m³/h
1時間に流れる体積を立方メートルで表す単位です。 L/minより大きな流量を扱う場合に用いられることがあります。
Nm³/h
所定の基準条件に換算した1時間あたりの立方メートル流量を表す単位です。 基準となる温度・圧力条件は、資料や製品仕様で確認する必要があります。
SL/min
Standard Liter per minuteの略で、 所定の標準条件に換算した1分間あたりのリットル流量を表す場合に用いられます。 基準条件は資料や製品仕様をご確認ください。
L/min(ANR)
空気圧機器などで用いられる表記で、 温度・圧力・相対湿度などの条件を含む場合があります。 使用する資料に記載されたANR条件をご確認ください。
注意: 一般に、0℃を基準とする場合にNL/min、20℃を基準とする場合にSL/minが用いられる例があります。 また、25℃・所定の相対湿度条件ではL/min(ANR)が用いられる場合があります。 ただし、表記方法や基準条件は資料・規格・メーカー・製品によって異なるため、 必ずカタログ・仕様書に記載された条件をご確認ください。
なぜ温度・圧力条件の確認が必要なのか
気体は圧縮性流体のため、圧力が高くなると体積は小さくなり、温度が高くなると体積は大きくなります。 そのため、実際の使用条件における体積流量と、所定の条件に換算した流量は同じ数値にならない場合があります。
この違いを確認せずに流量値を比較すると、 流量レンジが使用条件に合わない、表示値の意味を取り違える、カタログ条件と実使用条件を混同する といった問題につながります。
| 条件変化 | 気体体積への影響 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 圧力が高くなる | 気体は圧縮され、同じ量でも体積は小さくなります。 | 流量値が使用状態か、所定条件への換算値かを確認します。 |
| 圧力が低くなる | 気体は膨張し、同じ量でも体積は大きくなります。 | 配管内の流速や流量計レンジを確認します。 |
| 温度が高くなる | 気体は膨張し、体積が大きくなります。 | カタログに記載された温度条件との差を確認します。 |
| 温度が低くなる | 気体は収縮し、体積が小さくなります。 | 使用温度と目盛条件・換算条件を確認します。 |
1atm仕様とゲージ圧仕様の違い
気体用の面積式流量計では、目盛条件として 1atm仕様やゲージ圧仕様 が用いられる場合があります。 気体は圧力によって体積が変化するため、 流量計の目盛条件と実際の使用圧力が合っているかを確認することが重要です。
1atm仕様
大気圧条件を基準とした目盛仕様です。 実際の使用圧力が目盛条件と異なる場合は、 製品カタログ・仕様書に記載された方法による確認が必要です。
ゲージ圧仕様
指定された使用ゲージ圧力を考慮した目盛仕様です。 加圧された配管で使用する場合は、 流量計の目盛条件と実際の使用圧力が一致しているか確認してください。
ゲージ圧と絶対圧: ゲージ圧は大気圧を0として表す圧力です。 絶対圧は真空を0として表す圧力で、kPa(abs)、MPa(abs)、kPaA、MPaAなどと表記されます。 気体の状態を温度・圧力から扱う場合は、一般に絶対圧を用います。
関連ページ: 詳しくは 気体用流量計の1atm仕様とゲージ圧仕様の違い をご確認ください。
気体用流量計を選定する前に確認したい条件
気体用流量計を選定する際は、最大流量だけでなく、 流体名、使用圧力、使用温度、常用流量、使用最小流量、最大流量、出力信号などを整理しておくとスムーズです。 面積式流量計では、ガス種や使用条件によって補正が必要になる場合があるため、 カタログ・仕様書に記載された条件もあわせて確認してください。
気体流量でよくある注意点
気体流量では、単位や基準条件の違い、圧力の表し方によって数値の意味が変わります。 以下の点を確認しておくと、仕様確認や流量計選定での誤解を減らせます。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| ゲージ圧と絶対圧の違いを確認する | ゲージ圧は大気圧を0とする圧力、絶対圧は真空を0とする圧力です。 圧力条件を用いて気体の状態を扱う場合は、圧力の種類を確認してください。 |
| 単位の基準条件を確認する | NL/min、Nm³/h、SL/min、L/min(ANR)などは、 温度・圧力・湿度などの条件が異なる場合があります。 数値だけでなく、カタログや仕様書に記載された条件をご確認ください。 |
| L/minとNL/minを区別する | L/minは使用状態における体積流量を表す場合があります。 NL/minは所定の基準条件に換算された流量を表すため、 同じ数値でも意味が異なる場合があります。 |
| 1atm仕様とゲージ圧仕様を確認する | 気体用面積式流量計では、目盛条件が実際の使用圧力に合っているか確認してください。 使用条件が異なる場合は、製品ごとの補正式や仕様確認が必要になる場合があります。 |
| 常用流量を確認する | 最大流量だけで選定すると、普段使用する流量域で読み取りにくくなる場合があります。 常用流量と使用最小流量も確認してください。 |
| 測定方式ごとの直管部条件を確認する | 面積式流量計は直管部を必要としない製品が多い一方、 カルマン渦式流量計などでは、流れの乱れの影響を抑えるため、 上流側・下流側に所定の直管部が必要な場合があります。 必要な直管長は製品仕様をご確認ください。 |
| 面積式流量計の補正式を確認する | 面積式流量計では、カタログに記載されたガス種、圧力、温度などの条件と 実際の使用条件が異なる場合、製品カタログ・仕様書に記載された補正式を用いる場合があります。 |
関連ページ・よくある質問
気体流量を正しく扱うには、単位だけでなく、 面積式流量計の補正、1atm仕様とゲージ圧仕様、出力信号、選定条件もあわせて確認することが重要です。
Q L/minとNL/minは何が違いますか?
L/minは、1分間に流れる体積をリットルで表す単位です。 気体では、実際の使用温度・使用圧力における体積流量を表す場合があります。 NL/minは、所定の基準条件に換算された1分間あたりのリットル流量です。 基準条件は製品カタログ・仕様書をご確認ください。
Q なぜ気体流量では圧力条件が重要なのですか?
気体は圧力が高くなると圧縮され、同じ量でも体積が小さくなります。 そのため、実際の使用状態における体積流量と、所定条件に換算された流量が異なる場合があります。
Q Nm³/hとはどのような単位ですか?
Nm³/hは、所定の基準条件に換算された1時間あたりの立方メートル流量を表します。 基準となる温度・圧力条件は、カタログや仕様書で確認する必要があります。
Q NL/minとSL/minは何が違いますか?
NL/minとSL/minは、換算の基準となる条件が異なる場合があります。 一般に、0℃を基準とする場合にNL/min、20℃を基準とする場合にSL/minが用いられる例がありますが、 表記方法は資料・規格・メーカー・製品によって異なります。 必ずカタログ・仕様書に記載された条件をご確認ください。
Q 1atm仕様とゲージ圧仕様は何が違いますか?
1atm仕様は大気圧条件を基準とした目盛仕様です。 ゲージ圧仕様は、指定された使用ゲージ圧力を考慮した目盛仕様です。 気体は圧力によって体積が変化するため、 流量計の目盛条件と実際の使用圧力が合っているか確認する必要があります。 詳しくは 気体用流量計の1atm仕様とゲージ圧仕様の違い をご確認ください。
Q 面積式流量計の補正は、一般的な気体の状態換算と同じですか?
同じとは限りません。 面積式流量計では、カタログに記載されたガス種、圧力、温度などの条件を基準に、 使用ガス比重、使用圧力、使用温度などを考慮した製品ごとの補正式を用いる場合があります。 補正や機種選定では、各製品カタログ・仕様書をご確認ください。 数値の確認には 面積式流量計 補正計算ツール もご利用いただけます。
気体流量は、温度・圧力・単位・基準条件を確認することで、流量値の意味を正しく把握しやすくなります。
面積式流量計の補正や機種選定では、各製品カタログ・仕様書に記載された条件をご確認ください。
条件が分からない場合や、用途に合う流量計を選びたい場合は、お気軽にお問い合わせください。