流量計の基礎知識
流量計(フローメータ)とは、配管などの経路を流れる「気体」や「液体」の移動量(流量)をリアルタイムに測定・数値化する計測器です。
流体計測は、工場の品質管理、エネルギー管理、装置の安全運用、省エネ管理など、あらゆる産業プロセスにおいて欠かせない重要な役割を担っています。
流量計の製品をお探しの方へ。
気体用・液体用・薬液/純水用など、用途に合わせた製品カテゴリから流量計をお選びいただけます。
流量の「2つの測り方」:体積流量と質量流量
流体を正確に測定するためには、まず「何を基準にするか」を決定する必要があります。 流量の測定方法には、大きく分けて「体積流量」と「質量流量」の2種類があり、用途に応じて使い分けられます。
| 測定方式 | 特徴・メリット | 注意点(環境変化) |
|---|---|---|
| 体積流量 流量単位:m³/h、L/minなど |
流体が占める「空間の体積」を測る方式です。 構造がシンプルで扱いやすい機器が多く、一般的な液体・気体の計測に幅広く採用されています。 | 温度や圧力が変化すると流体の体積が膨張・収縮するため、条件によっては目盛りの補正や換算が必要になります。 |
| 質量流量 流量単位:kg/h、g/minなど |
流体そのものの「物質の量」を質量として扱う方式です。 気体管理や高精度なプロセス管理で重要になる考え方です。 | 温度や圧力による体積変化の影響を受けにくい一方、用途や必要精度に応じた測定方式の選定が必要です。 |
流量単位の確認には 流量・圧力 単位換算ツール をご利用いただけます。 気体流量の標準流量・実流量・温度圧力補正の考え方は 気体流量の基礎知識 で詳しく解説しています。 実際の換算には 気体流量換算ツール が便利です。
測定原理・方式から選ぶ流量計の種類
流量計には数多くの測定原理があります。 ここでは、実務で使われる代表的な流量計の種類と、それぞれの特徴・注意点・主な用途を解説します。 各方式が、主に体積流量を測定する方式なのか、質量流量を測定する方式なのかもあわせて紹介します。
※方式によっては当社で取り扱いのないものもありますが、流量計選定の基礎知識として代表的な方式を紹介しています。
面積式流量計
先広がりの管を流体が通る際、内部のフロートが浮き上がる位置で流量を目盛りから直接読み取る方式です。
- ⚙️ 長所: 電源が不要、低コスト、直感的で異常を検知しやすい。
- ⚠️ 短所: 一般的に垂直設置が必要。製品仕様に応じた取付方向の確認が必要。
- 💧 流体: 一般工業用水、圧縮空気、各種ガス。
羽根車式流量計
流体の流速に比例して配管内の羽根車が回転する速度を磁気や光で検出し、瞬時流量や積算流量を算出します。
- ⚙️ 長所: 応答性が速く、流量変化を検出しやすい。
- ⚠️ 短所: 流体中のゴミや異物に注意。定期的な点検を推奨。
- 💧 流体: 各種クリアな液体、水、機械冷却油、純水。
カルマン渦式流量計
発生するカルマン渦の周波数が流速に比例する特性を利用して流量を算出する、可動部のない耐久設計モデルです。
- ⚙️ 長所: 機械的な可動部がなく摩耗しにくい。高温液体にも対応しやすい。
- ⚠️ 短所: 低流速では渦が安定せず、測定条件の確認が必要。
- 💧 流体: 水、冷却水、高温の純水、各種薬液。
超音波式流量計
超音波の伝播時間差などを利用して流量を演算する方式です。 可動部がなく、製品構造によっては流体に直接接触せずに測定できるため、クリーン性が求められる用途にも適しています。
- ⚙️ 長所: 可動部がなく、圧力損失を抑えやすい。構造によっては非接触測定が可能。
- ⚠️ 短所: 流体中の気泡や異物が多い場合は、測定に影響することがある。
- 💧 流体: 半導体用超純水、高純度薬液、クリーン液体。
差圧式流量計
配管内にオリフィスなどの絞りを設け、その前後に発生する差圧の大きさから流量を算出します。
- ⚙️ 長所: 構造が比較的シンプルで、条件に合った仕様を選ぶことで高温・高圧ラインにも対応しやすい。
- ⚠️ 短所: 絞りによる圧力損失が発生するため、配管条件の確認が必要。
- 💧 流体: 工場内の高温給水ライン、飽和水、一般液体。
分流式流量計
主配管を流れる流体の一部をバイパス回路へ分岐させ、そこに取り付けた小型流量計で大流量を換算・計測します。
- ⚙️ 長所: 大口径配管でも、機器を大型化せずに流量を測定しやすい。
- ⚠️ 短所: 分流比を一定に保つため、流体条件や詰まりに注意が必要。
- 💧 流体: 大容量液体ライン、大型設備の気体管理。
電磁式流量計
導電性のある液体が磁界の中を流れるときに発生する起電力を利用して、流量を測定する方式です。
- ⚙️ 長所: 可動部がなく、圧力損失が少ない。汚れを含む液体にも対応しやすい。
- ⚠️ 短所: 導電性のない液体や気体には使用できない。
- 💧 流体: 工業用水、排水、薬液、スラリーなど。
コリオリ式流量計
振動する測定管を流体が通過するときに生じるコリオリ力を利用して、質量流量を直接測定する方式です。
- ⚙️ 長所: 質量流量を直接測定でき、高精度な計測が可能。
- ⚠️ 短所: 機器が高価になりやすく、配管振動や設置条件に注意が必要。
- 💧 流体: 薬液、食品、燃料、高精度プロセス液体など。
熱式質量流量計
流体によって奪われる熱量の変化を利用して、主に気体の質量流量を測定する方式です。
- ⚙️ 長所: 気体の質量流量を測定しやすく、温度・圧力補正を簡略化しやすい。
- ⚠️ 短所: ガス種や汚れ、水分の影響を受ける場合がある。
- 💧 流体: 圧縮空気、窒素、アルゴンなどの各種ガス。
流量の確認方法と出力方式
流量計には、目盛りを直接読み取るタイプ、数値をデジタル表示するタイプ、流量状態をスイッチ信号で出力するタイプ、 パルス出力やアナログ出力によって外部機器へ流量情報を送るタイプなどがあります。 使用目的に合わせて、必要な表示方法や出力方式を確認します。
面積式流量計の目盛りを読む位置
面積式流量計では、フロートの形状によって目盛りを読む位置が異なります。 基本的には、図に示すフロートの最大径部を目盛りに合わせて読み取ります。 正確な読み取り位置は、製品ごとの仕様書、カタログ、取扱説明書をご確認ください。
目盛りを目視するタイプ
面積式流量計などでは、フロートの位置と目盛りを直接確認して流量を読み取ります。 電源を使用せず、現場で流量状態を確認できる製品もあります。
デジタル表示タイプ
流量値を数値で表示します。 製品によっては、瞬時流量や積算流量を表示できるものがあります。
スイッチ・接点出力
流量が設定値を上回った、または下回った状態を検知し、警報や装置制御に利用します。 対応するスイッチや出力仕様は製品ごとに異なります。
パルス・アナログ出力
パルス出力は積算流量の管理などに使用されます。 4-20mAや1-5Vなどのアナログ出力は、PLC、表示計、記録計などへの流量信号入力に利用されます。
フロート位置の読み取り方法、目盛条件、使用条件が異なる場合の補正、気体用の1atm仕様とゲージ圧仕様の違いを確認できます。
流体性質・実務用途に最適化された製品カテゴリ
東フロコーポレーションでは、ご使用になる流体や現場のシステム要件に合わせて、気体用・液体用・薬液/純水用などの流量計をお選びいただけます。
液体用流量計
工業用水、冷却水、機械油などの管理に。 現場の耐久性とコストパフォーマンスを両立した流量計を掲載しています。
薬液・純水用流量計
超純水や腐食性薬液に。 半導体洗浄装置や化学ラインなど、クリーン性が求められる用途に対応します。
周辺パーツ
流量計の安定運用を支えるフィルタ、バルブ、継手などの周辺パーツを掲載しています。
システムユニット
流体計測技術をコアに、環境配慮装置や精密集中分配など、産業現場の高度な課題を解決するシステムです。
流量計の主な用途例
流量計は、単に流量を表示するだけでなく、品質管理、設備保護、省エネルギー、異常検知など、さまざまな目的で使用されます。 ここでは代表的な用途例を紹介します。
工場設備の流量監視
冷却水、工業用水、機械油などの流量を監視し、設備の安定運転や異常検知に役立てます。
半導体・薬液ライン
超純水や薬液など、清浄性や耐薬品性が求められる工程で、安定した流量管理に使用されます。
圧縮空気・各種ガス管理
コンプレッサーエアーや窒素などの使用量を把握し、省エネ管理や漏れ検知に活用されます。
温調・冷却ライン
装置の冷却水や温調水の流量を確認し、温度管理や設備保護に役立てます。
流量データの可視化
表示計や変換器と組み合わせ、流量のデジタル表示、積算管理、外部出力に利用できます。
安全運用・異常検知
流量低下や詰まりを早期に把握することで、装置トラブルや品質不良の予防につながります。
流量計の選定に役立つ基本計算式
流量計を選定する際や配管サイズを決定する際、よく使用されるのが 「流量」「流速」「配管の内径」の関係式 です。 仕様策定の目安としてご活用ください。
・ Q : 流量 [L/min](リットル毎分)
・ v : 流速 [m/s](メートル毎秒)
・ D : 配管の内径 [mm](ミリメートル)
※「0.04712」は、実務で使われる単位(分・秒・ミリメートル・リットル)に合わせて、 公式 Q = v × πD²/4 を換算した係数です。
実際の計算例
例:内径(D)が「20 mm」の配管に、流速(v)「2.0 m/s」で液体を流したい場合の必要流量(Q)は?
➔ 計算:2.0[m/s] × 20²[mm] × 0.04712 = 37.69[L/min] となり、最大流量が40 L/min付近の流量計が選定候補になります。
流量・流速・配管内径の関係を、フォーム入力でかんたんに確認できます。 配管サイズの検討や流量計選定の目安にご活用ください。
流量計を選ぶ前に確認したいチェックポイント
流量計は、流体の種類や使用条件によって適した方式・材質・流量レンジが変わります。 選定前に以下の条件を整理しておくと、製品選定やお問い合わせがスムーズになります。
4-20mA、1-5V、パルス出力、警報接点などの違いは 流量計の出力信号について で詳しく解説しています。 アナログ出力値の確認には アナログ出力換算ツール もご利用いただけます。
最適な流量計を選定するためのロードマップ
流量計の選定ミスは、測定不能や故障の原因となります。 以下のステップに沿って条件を整理することで、用途に合った流量計を選びやすくなります。
流量・流速・配管径の計算、単位換算、気体流量の補正、アナログ出力値の確認などを行いながら、 流量計選定に必要な条件を整理できます。
流量計選定でよくある失敗と注意点
流量計は、条件に合わない機種を選ぶと、表示が安定しない、目盛りが読めない、故障しやすいなどのトラブルにつながる場合があります。
流量レンジが合っていない
最大流量だけで選定すると、通常使用する低流量域で目盛りが読みにくくなることがあります。 常用流量を中心にレンジを確認することが重要です。
気体の温度・圧力条件を考慮していない
気体は温度や圧力によって体積が変化します。 標準状態換算や使用条件の確認を行わないと、想定と異なる流量になる場合があります。
異物やゴミへの対策が不足している
流体中の異物は、可動部の動作不良や詰まりの原因になることがあります。 必要に応じてストレーナやフィルタの設置を検討します。
材質と流体の相性を確認していない
薬液や腐食性流体では、接液部材質の選定が重要です。 材質が合わないと、劣化や漏れ、故障につながる可能性があります。
流量計とフローコントローラの違い
流量計とフローコントローラは、どちらも流体管理に使用されますが、役割が異なります。 流量計は「測る」機器、フローコントローラは「測りながら制御する」機器です。
流量計
配管を流れる気体や液体の流量を測定・表示するための機器です。 現場での目視確認、異常検知、設備管理、流量データの取得などに使用されます。
フローコントローラ
流量を測定するだけでなく、設定した流量になるようにバルブなどを用いて自動制御する機器です。 一定流量を保ちたい装置やプロセスに適しています。
流量計の選定・運用に関するよくあるご質問
Q 流量計の設置時になぜ「直管長」が必要なのですか?
配管内の流速分布を安定させ、測定誤差を防ぐためです。
配管の曲がり角(エルボ)やバルブの直後は、流れが偏ったり、旋回流が発生したりする場合があります。 この状態で測定すると誤差の原因となるため、流量計の上流側・下流側に一定以上のまっすぐな配管(直管長)を確保します。 必要な長さは測定原理や製品仕様によって異なります。
Q 気体を体積流量計で測る際の注意点は何ですか?
温度と圧力の変化による体積変動を考慮する必要があります。
気体は温度が上がると膨張し、圧力がかかると収縮します。 そのため、体積流量計で気体を管理する場合は、測定時の温度・圧力条件を確認し、 必要に応じて基準状態への換算や補正を行います。 用途によっては、質量流量での管理が適する場合もあります。
考え方は 気体流量の基礎知識 、目安確認には 気体流量換算ツール もご利用いただけます。
Q 流量計を長持ちさせるための日常メンテナンスはありますか?
ストレーナの設置・清掃、流路の詰まり確認、表示値や出力の定期確認が有効です。
流量計の不具合は、流体に含まれる異物やゴミの付着・噛み込みが原因になることがあります。 機器の上流側には必要に応じてストレーナを設置し、定期的に清掃してください。 電気出力タイプでは、流体が停止している状態で表示や出力が適切か確認することも有効です。
Q 流量計を選ぶときに最初に確認するべき条件は何ですか?
まずは流体の種類、流量範囲、温度、圧力、出力信号の必要性を確認します。
そのうえで、粘度、腐食性、異物の有無、配管サイズ、取付方向、 4-20mA・1-5V・パルス出力・警報接点の必要性などを整理すると、 用途に合った流量計を選定しやすくなります。
出力信号の違いは 流量計の出力信号について で詳しく解説しています。
Q 流量計とフローコントローラは何が違いますか?
流量計は流量を測定する機器、フローコントローラは流量を制御する機器です。
流量を確認したい場合は流量計、 一定の流量に自動調整したい場合はフローコントローラが適しています。 用途によっては、表示計や制御バルブと組み合わせて使用します。
流体の条件に合わせた最適な流量計の選定、特注仕様のご相談、お見積りのご依頼など、
流量計測に関するご不明な点がございましたら、専門メーカーである当社までお気軽にお問い合わせください。